ここまでロッキーシリーズでは悪役は徹底的に悪役として描かれて、本質としては自分との戦いがメインだったのに対して本作ではドラゴ陣営を掘り下げすぎて主人公側を手放しで応援できなくなって、盛り上がりに欠ける作品になってた気がする
ボクシングによる成り上がりっていうストーリーの軸もドラゴ側の方が合ってたこともあってなんだかなぁ…と

ただロッキーと息子の再会シーンはクリード1の時から見たかったシーンだからそこは嬉しかったなぁ

エイドリアン似の孫がよかったよなぁ
くどくど謝罪の言葉述べたり、許す許さないで一悶着あるよりも
「おまえのお爺ちゃんだよ」の一言で過去を水に流して
新しい関係を築いていった感じなのがいい

アドニス・・・父を殺された過去、ヴィクターに圧倒されたことがトラウマ
ロッキー・・・あの時タオルを投げずにアポロを死なせてしまったことがトラウマ、息子との確執も
ドラゴ　・・・ロッキーに負け国家や妻に裏切られたことがトラウマ

メイン3人にそれぞれドラマを背負わせて一気に解消させて次のステップに進ませたのがよかったね。
いちおう前作から「クリード」のシリーズではあるんだけど、まだまだ「ロッキー」の時代の呪縛で雁字搦めだった。
それを解決に向かわせたことでようやく名実ともに新しいシリーズに突入した感じがする。

血尿がいたそうだつた

ロッキーの体調の話とかスルーされてる細かい部分はあるんだけどそれでも涙が止まらなかったわｗ

ドルフ・ラングレンもスタローンと同じで「脳筋役者で演技は出来ない」みたいなあらぬ誤解を受けていたけど、今作でドラゴに人間味を持たせたのは正解だったしそれによく応える演技が出来てたよなぁ。

アポロを死ぬまで殴り続け、息子の人生も自分の復讐のために利用してたフシもあるような人間が最後に息子を守るためにタオル投げるとかもう最高ですよ。
ベタだけでラストで二人一緒にランニングしてたのもよかった。

4を意識した80年代的な因縁の対決めいた作品にせずに
両者それぞれにドラマを設けた内容にしたのが現代的だったな

古い作品だったらアドニスが自暴自棄になって酒や女に走ったり
子ども放ったらかしでトレーニングに明け暮れて夫婦仲にひびが入ったりしたんだろうけど
プライベートの問題は二人で話し合ってちゃんとクリアした上で闘いに臨むのが今風

今回はドラゴ父子がブラックパンサーのキルモンガー側だったと

もうたいして製作には携わってないとはいえ元夫の代名詞的なシリーズに出演してキッチリ嫌な女を演じきるんだからブリジット・ニールセンもたいしたもんだわ(笑)

エクスペンダブルズじゃないから敵同士の戦後の馴れ合いはなくていいわ
闘いを通してそれぞれの人生が前に進んだ感じがしっかり描けてたし文句はない

ドラゴの息子役にはなんの文句もないけどなぁ。難航を極めたオーディションであれだけのガタイにプラスしてちゃんと演技が出来る人をちゃんと見つけられたんだなぁと思ったし。

普通に良い作品だとは思うんだけど前作のクリード１と比べるとやや下がったかなとは思う

あと関係ないけど「２ちゃんまとめ」じゃなくて「５ちゃんまとめ」な

敵側のドラマもちゃんと描けてたのがよかったね
物語に深みが出た

息子同士やロッキーとドラゴの対比はもちろんだけど、母親の対比も印象的だったわ。
クリード１からクリード夫人は器がデカかったけど、今作は妊娠見抜いたり、ドラゴの息子と戦うって言ったときに「私とあの人を言い訳にしないで」って諭したり、母の強さと偉大さを感じるいい場面が多かった。

対してドラゴ嫁は人として考えられん冷たさ。
４のドラゴは結構好きな敵役だったから、今作の扱いはかわいそうで仕方なかった。

最終ラウンドでアドニスがダウンしたとき、頭のそばにスーツの男が立ってて、「お？アポロの幻影か？」って思ったら普通にレフェリーの足だった。

ロッキー４のドラゴが好きだったから、今作で落ちぶれてて悲しかった。
冷徹な殺人マシーンだったドラゴが、ロッキーを「人間じゃない」って言って、戦っていくうちに必死なボクシングになっていって、最終ラウンド前に政府のお偉いさん締めあげて「俺は俺自身のために勝つ」って言って人間味が出てきたりして、いい敵役だと思うんだよね。

その死闘がロッキードラゴ双方に苦い思い出になってたのが悲しい。
ロッキーも写真飾ったれや。