「偽りなき者」
デンマークの映画。北欧の映画は「ぼくのエリ」や「ミレニアム」という傑作があるけど、作風としてどこがダークな部分があって人の内面を深く描き出すという特徴がある。この映画はデンマークの田舎の村が舞台なんだけど、主人公は名優マッツ・ミケルセンが演じるマーカスという学校の先生で妻と別れて一人で暮らしている。友人の幼い娘に好かれてるんだけど、子供だからって本気で相手にしない。ある日その女の子が子供心というか腹いせにルーカスにひどいことをされたと他の先生にうそをつく。話を聞いてる内にルーカスが幼い女の子にイタズラをしたことになってしまう。話だけ聞くと誤解なんだからすぐに解けるだろうと思うんだけど、「やっていない」という証明をするのが難しい。さらに大人は子供がそんな嘘をつくわけないと思い込んでいるというのもあってルーカスは狭い田舎の村で急に村八分になってしまう。田舎だから噂も広まるのも早いし、買い物に行っても店主から「おまえに売るもんはねえ」とか言われてしまう。たしかデンマークには「子供は嘘をつかない」というようなことわざもあってルーカスは親友からも信用を失うし大変な目にあう。人間の集団心理を描いた作品。見ると本当に恐怖で、アメリカ的なドン！バン！って怖さじゃなくてじわじわ怖い感じ。