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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

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 自分がこれまで一番感動したというか、人生観を変えさせたのが、この作品である。
舞台は、マフィアが蔓延るきっかけとなった、アメリカ史上最悪の悪法と言われる”禁酒法時代”1923年から、30年代を中心に68年までの血塗られた男たちの欲望・野心、友情と裏切り、男女の愛憎、病めるアメリカの裏社会等が交差したロマンが謳われている。



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 この映画で”宿命”と言うものを強く感じさせられた。
封切られてすぐ、映画館で観たが、帰りにサントラ盤のCDを買った。その後、レンタルビデオを借りたが、保存しておきたくてレーザーディスクも購入した。テレビでも観たし、映画未公開部分も収録したDVDの完全版も手に入れた。
 20年間で6回観ているが、自分の年代や、その時の心理状態によって受け取り方が違ってくる。暗い気分の時は、実に重くのしかかってくる。4時間近いが、長さを感じさせないし、6回も観ているとすべての情景を覚えている。特に、背景となっている”マンハッタン・ロウア・イースト・サイド”の街を”ウイリアムバーグ”を背に闊歩する5人の少年時代は、何度観ても良い。
 
 物語は、ニューヨークの貧しいユダヤ地区に育ったヌードルス(デ・ニーロ)、コックアイ、パッツィー、ドミニクの4人の悪ガキが、1923年、ヌードルス17才の時に、街に越してきたマックス(ジェームズ・ウッズ)と知り合い、知恵と力で暗黒街をのし上がっていく一大叙事詩である。
 少年時代に、仲間の一人ドミニクは、当時街を牛耳っていたチンピラに殺されるが、残った4人が、強い友情で結ばれ、結束を固めていく。
 ヌードルスの裏切りにより、3人は警官に射殺されてしまう。彼は、自分が裏切ったという罪悪感に悩まされ、30数年浅い眠りしかとれない。60才を過ぎた今、過去を振り返る。画面は、少年時代・青年時代と老年に差し掛かった現在とが、交差し、過去はテンポ良く進行するノスタルージーの世界である。そして、今はゆっくり進んでいく。
 
 場面ごとに実にマッチした音楽が流れる。冒頭、甘美なメロディーの中での非常な銃弾、若き日、ヌードルスが恋するデボラのためにレストランを借り切り、踊る場面で流れるアマポーラ、少年時代にもデボラのテーマは、至る所に流れてくる。過去のノストラジーに浸る場面でのイエスタディ。音楽と共に、素早く場面が切り替えられる。見事な3時代の転換である。自分が最も好きなのは、何とも悲しいオカリナを使った、全体のテーマ曲だ。
 
 ヌードルスは、過去を断ち切るために、模索し続けるが、最後に真実が判明し、アヘンを吸いながら、忘れていた安息を取り戻す。映画は、彼の微笑で終わるが、この笑顔が実にいい。17才の少年時代から激動の青年期を経て60才を超えた老年期までを演じたデ・ニーロの最高傑作だと思う。監督のセルジオ・レオーネは、イタリア系アメリカ人であるが、描かれているのは、ユダヤ人の世界だ。イタリア系マフィアを恐れさせた、ユダヤの結束。
 これは、単なるギャング・マフィア映画ではなく、友情や人生を見直させる作品である。


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