パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち
ディズニーランドの人気アトラクション「カリブの海賊」をモチーフに、「海賊」と「アドベンチャー」という古典的かつ普遍的アイテムに新しい息吹を与えた今世紀最大のエンターテイメントムービーのシリーズ幕開け作品である。
ハリウッドのトップ・プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーが、驚異のVFX映像によって、見る者を冒険とファンタジーの世界へ導いてくれる。
17世紀、海賊たちが大海原を荒らしまわっていた遥かなる時代。カリブ海の港町ポートロイヤル。
スワン総督(ジョナサン・プライス)の一人娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)が極悪非道な海賊バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)一味にさらわれる。バルボッサの狙いは、エリザベスが身につけていた黄金のメダルだった。このメダルは、かつて海上で助けた少年ウィルが身につけていた物であった。
一方、鍛冶屋で働く逞しい若者へと成長したウィル(オーランド・ブルーム)は、幽閉されていた元ブラックパール号船長で一匹狼の海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)と手を組み、エリザベスの救出に向かうのだがーーー。
かつて、ウイルが手にしていた黄金のメダルに秘められた謎とは?
何故、バルボッサはこのメダルが必要だったのか?
ウイルは果たして、エリザベスを救う事が出来るのか?
ジャックは、ブラックパール号をバルボッサに奪われ、それを奪い返すため、今ではウイルと共通の敵となったバルボッサと争う事になるが、彼の目的はそれだけなのか?
間抜けなのか利口なのか、ウイルにとって敵なのか味方なのかも判然としない、海賊ジャック・スパロウ役を演じるデップは、この作品で新境地を開き、これが彼の代表作となる事は間違いない。
デップの古典的な海賊の衣装の着こなしと、メイクアップには目を見張るものがある。まさにデップのために作られた作品である。
これまでデップの主演作品をレビューしてきたが、初主演の”クライ・ベイビー”、彼を世に知らしめた”シザーハンズ”、個性的な異色作”妹の恋人”や”エド・ウッド”、”ドンンファン”、”デッドマン”など。初監督作品”ブレイブ”、新境地を開いた”スリーピー・ホロー”や”フロム・ヘル”などであるが、”パイレーツ・オブ・カリビアン”は、間違いなく彼の代表作であろう。これほど見事な海賊は、デップのほかに演じられる役者はいないであろう。全編に渡り、ファニーでコミカルな海賊を演じているが、時にハッとするような表情と迫力あるアクションを魅せる。
デップ以外の配役も完璧である。理想に燃える勇気ある若者、オーランド・ブルーム、冒険物に欠かせない男勝りの美女、キーラ・ナイトレイ、不気味で残忍な一筋縄ではいかない悪役、ジェフリー・ラッシュらもそれぞれの味を充分出している。
物語も謎めいた、ミステリアスなノンストップ・アクションとなっている。まさに、先の展開が読めない冒険ファンタジーである。そして、17世紀へと我々を誘う素晴らしい衣装や骸骨などのCG効果。
これ以上に、何が望まれるであろうか?
「海賊」と聞いただけで、言い知れぬロマンを感じさせる。この作品は、現代人が忘れている、夢と冒険のあの時代を思い起こさせてくれる。
映画という最高のエンターテイメントを改めて教えてくれた作品である。
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