ゴッドファーザー パートⅠ
これぞマフィア物の最高峰。我々にマフィアという存在を初めて知らしめた映画である。これ以降、マフィアを題材にした映画が何本も作成されたが、これを凌ぐものはない。今後も生まれ得ないであろう。
壮絶なギャング抗争、血塗られた争いと裏切り。しかし、根底はファミリーを守る男のドラマ。甘美なニーノ・ロータのメロディーに見るように、家族愛の話である。
実在のマフィアであるコロンボ一家を題材にしたこの映画には、これも実際にあったフランクシナトラ事件の話も出てくる(無論名前は明かしていない)
コルレオーネファミリーの歴史が描かれているが、ドン役のマーロンブランドの貫録・重厚感のある演技には、圧倒させられる。3人の息子と養子の弁護士トム(ロバート・デュバル)も、それぞれ違った個性を非常にうまく演じている。
短気で直情型の長男ソニー(マイケル・カーン)、おっとり型の次男フレド(ジョン・カザール)、冷静沈着な三男マイケル(アル・パシーノ)、そして知性派トムである。
ドンは、三男マイケルに一番の期待を賭けるが、彼はマフィアを恥じている。しかし、おやじが襲われ、長男が殺されたことから変わっていく。最後には、家族を守るために非情な男になりきり、2代目となるところで幕を閉じる。その変貌振りをパシーノは、見事に演じている。
家族を支えるのは、男だけではない。母親も妹(タリア・シャイア)も妻(ダイアン・キートン)も耐えながら、あるいは強く、実にいい味を出している。
最後までマイケルについていくトムを始め、すべての役者が、個性ある役回りを最高の演技でその人物になりきっている。作っているとは思わせない、迫真の演技。
この映画は、マフィアをテーマにしているが、当時のアメリカの時代背景、家族の在り方、兄弟愛、男の生きざま等、多くのことを教えてくれる。
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